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食べる力を育む離乳食

ゆきデンタルクリニック歯科衛生士

畑瀬祥子先生





今回のナチュラルクラスは、歯科の立場から考える離乳食のポイントを学んでいきます。

講師は、当クリニックで働く歯科衛生士であり、歯科衛生士の勉強会グループ「Hygeia」の副代表も務める畑瀬祥子先生です。また、先生自身も3人のお子さんを育てる先輩ママでもあります。今回のナチュラルクラスは当院の歯科衛生士が講師を務める講座の二回目となります。



教室は離乳食期のお子様とママの5組に加え、それとは別に大人の方にも参加していただき、和気藹々とした雰囲気の中、行われました。

まず、ゆき先生から現代の子どもたちの現状についての説明です。いまの子どもたちは問題なく食べている子が少なく、普通に食べているように見えてちゃんと噛めていなかったり、丸呑みしたりしている子が多いのだそうです。その結果、歯並びが悪くなったり、鼻炎がちだったり、姿勢が悪かったりと体が弱い人が増えているといいます。それを防ぐための正しい噛み方や口の使い方は自然にできるようになるわけではなく、離乳食期に大人がちょっと手をかけたり、誘導してあげることが大事なのです。



最初は5組のお母さん方から離乳食についての悩みや気になることを聞いていきます。「詰まるのが心配だから全部すりつぶしてしまう」、「1日にどれくらいの回数をやっていいか分からない」、「丸呑みしてしまう」とみなさん、さまざまな悩みを抱えてらっしゃいます。

その後、畑瀬先生がスライドを使って離乳食の進め方について紹介。

座らないから追いかけて口に入れる、詰まらないように全部つぶしてしまうといったことは離乳食期にありがちなことかと思いますが、そうやって大きくなった子どもは3歳くらいになるとあまり噛んでないとか、口がいつも開いているとか、歯並びが悪いといったトラブルを抱えてしまうことが多くあります。実は“食べる”という行為を分解していくと、見て認識する、指や箸でつかんで口に運ぶ、上唇を閉じて口の中に取り込む、やわらかいものはベロや上唇でつぶし、固いものは歯茎でつぶして唾液とひとまとめにして飲み込む、と非常に複雑です。この複雑な行為を離乳食期に習得するのです。




離乳食を開始する時期は


  • 首がきちんとすわる(自分で首を持ち上げられる)

  • 舌で押し出さない(唇を閉じて息を止めゴックンとできる)

  • 支えなくても自分で座れる


などが目安となります。

このとき注意していただきたいのは、まっすぐに座らせて正面から食べさせること。また、噛むときにきちんとふんばれるように足が付く踏み台を用意したり、姿勢良く座れるように背中にクッションなどを置いて調整することも必要です。

赤ちゃんの運動発達は、首が座って寝返りができるようになり、ずり這いを経てハイハイへという順番があるかと思いますが、食べる力の発達にも順番があります。例えば口を上下に動かせるようになったあとに左右に動かせるようになる(歯茎でつぶすときの動作)など。一般的には5か月になったら○○を始めましょう、と月齢ごとに紹介されていますが、体の発達も人それぞれなので、口の中の発達も違って当然です。ですので、子どもの発達をよく見極めて離乳食を進めてみてください。


離乳食初期のポイントです

  • 食べにくるのを待つ(食べさせにいかない)

  • 上唇がきちんと閉じる

  • 正しい姿勢


机は手が自由に動かせる高さに調整します。そしてスプーンは薄くて唇がしっかりと閉じられるものを。そして最初からこんもりと盛らずに、最初は先端に少しだけのせて食べさせ、慣れてきたら徐々に増やしていきます。

そして水分はストローではなくスプーンやお猪口を使ってすする練習をしてください。

口がしっかりと閉じられるようになったら、次は豆腐くらいの硬さのものをべろで潰す練習です。歯茎でつぶせるようになったかどうかは、口角が動いているかに注目するとわかります。このつぶす動きを引き出すには固さと大きさが重要。いつまでもペースト状のものしかあげていないと育まれません。噛むために必要な大きさは5mm以上くらいです。

そして、前歯でかじりとり、奥歯ですりつぶすことができる段階に移行します。

大切なことは、栄養面だけではなく、口を育てるメニューも加えて欲しいということです。

離乳食後期に入ると手づかみ食べやかじりとりに移ります。これは服や机周りが汚れてしまいますが腹をくくって、こんなにできるようになったんだーと大きな心で見守ってあげてください。離乳食の内容も、家族用の食事を味付けする前に取り分けたもので十分です。畑瀬先生も離乳食専用では作ってこなかったといいます。

さて教室の後半では、5人のお子さんに実際に離乳食を食べてもらいながらポイントをみていきます。

今回の食事は畑瀬先生が野菜や豆腐を出汁で煮ただけのものを用意。どれも大きめにカットされており、とくに大人の指ほどの長くて太いゴボウが目を引きます。




人参や大根など美味しそうに食べていますが、意外に人気なのがゴボウ。太いスティック状のものを手でしっかりと掴み、ガシガシと噛んでいます。


ここでゆき先生から説明が入ります。

「このゴボウは食べて飲み込んで栄養にするためのものではなく、咀嚼の練習用として与えるものです。だから栄養とは別に考えてください。いま赤ちゃんたちがガシガシと噛んでいるのは、食べる練習にすごく繋がります。最初のうちは喉にひっかけると危ないので、あえて噛みきれないくらいの固さにする方がいいですね」




今回参加した赤ちゃんは生後7か月から1歳2か月とバラバラで、月齢によっては(ゴボウはもちろんのこと)少し固めに茹でた野菜もありました。ただ、今まで柔らかくしたものばかりあげていたお母さんも、我が子が少ししっかりとした食感の大根でもきちんと噛みながら食べているのに驚かれていました。

刻み食だと口の中にいれてもそれ以上は小さくなりませんが、少し大きめのものだったらベロや歯茎で潰すことができます。普通は小さい方が食べやすいだろうと思いがちですが、それは違うといいます。

ここで一人のお母さんから「普段の食事のときも気が散って食べるのをやめたり、遊んだりするんですがどうすればいいでしょう?」という質問が出ました。

それに対し畑瀬先生は、「無理に食べさせなくていいと思います。自分が食べたいと思えばまた求めてきますから」と回答。

そしてゆき先生からも補足が入りました。

「基本、現代人は大人も子どももみんな食べ過ぎなんですよね。いま日本は過食の病気が多いんです。腹7分目までが健康的な食事。子どもが小さいと体重を増やさなきゃと心配になるのも分かりますが、食べ過ぎる方がアレルギーなど病気を招いたりするんですよ」

また、別のお母さんからの歯磨きのタイミングについての質問には、

「よく、食事を終えてから歯磨きまで30分間あけた方がいいといったりしますが、大人も子どもも食べたらすぐに磨いて大丈夫です。やっぱり実験の状態と普段の生活は違いますし。お母さんも忙しいでしょうから間隔は気にされずに磨いてください」



実食中には水分のすすり方や正しい姿勢についても学びました。

水分をすするときは下唇にスプーンをのせて、上唇がおりてくるまで待ちます。そうすると水分が上唇に触れたら自然とすするようになるので、それを練習してみてください。

また、お母さんにかごに座った状態と真っ直ぐに座った状態で食べ物を食べくらべてもらい、正しい姿勢の方がずっと自然に飲み込めるということを体感してもらいました。



今回の教室で繰り返しお話したのは、今はのちのち噛めるようになるための練習時期だと考え、栄養面での食事と並行して行って欲しいということ。おっぱいを飲んでいるから栄養はカバーしているので、あせらず、ワンステップ、ワンステップ親子で練習をしてみてください。

 
 
 

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